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令和8年度税制改正で年末調整はどう変わる?国税庁の年末調整関係資料と確認ポイント

2026.05.27

令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正などが行われました。

特に注意したいのは、基礎控除の見直しです。単に「控除額が増える」というだけではなく、合計所得金額や給与収入、令和8・9年分なのか、令和10年分以後なのかによって、適用される控除額が変わります。

中小企業では、令和8年12月の年末調整に向けて、国税庁の年末調整関係資料を確認しながら、従業員への案内、申告書の回収、扶養親族等の確認、給与計算ソフトの対応状況を早めに整理しておくと安心です。

令和8年度税制改正で年末調整はどう変わる?

令和8年度税制改正では、所得税の基礎控除や給与所得控除、扶養親族等の所得要件について見直しが行われました。

これらの改正は、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。そのため、令和8年12月に行う年末調整など、令和8年12月以後の源泉徴収事務に影響します。

今回の改正は、会社の年末調整実務に直接関係します。特に、基礎控除や給与所得控除は多くの従業員の税額計算に関係するため、前年と同じ感覚で処理すると、確認漏れが起きやすい部分です。

この記事で確認すること

  • 令和8年度税制改正で何が変わるのか
  • 令和8年12月の年末調整で確認したいこと
  • 基礎控除の引上げと、所得金額ごとの違い
  • 給与所得控除の最低保障額の引上げ
  • 扶養親族等の所得要件の改正
  • 国税庁の年末調整関係資料で確認したい書類
  • 年末調整の案内・回収・計算を始める時期の目安
  • 中小企業が早めに準備しておきたい実務対応

まず整理したい時系列

今回の改正では、「令和8年分の年末調整」と「令和9年分以後の毎月の源泉徴収事務」を分けて考えると整理しやすくなります。

令和8年11月までの給与等については、毎月の源泉徴収事務に変更はありません。

一方で、令和8年12月の年末調整では、改正後の基礎控除額や、改正後の給与所得控除後の給与等の金額の表を使って1年間の税額を計算します。そのうえで、改正前の源泉徴収税額表により計算した源泉徴収税額との精算を行います。

時期 実務上の位置づけ 確認したいこと
令和8年11月まで 毎月の源泉徴収事務には原則として変更なし 通常どおり給与計算を行いつつ、年末調整に向けて改正内容を確認する
令和8年12月 令和8年分の年末調整で改正後の内容を反映 基礎控除、給与所得控除、扶養親族等の所得要件を改正後の内容で確認する
令和9年分以後 改正後の源泉徴収税額表等に基づく実務へ移行 給与計算ソフトや源泉徴収税額表の更新状況を確認する

令和8年度税制改正では、毎月の給与計算がすぐに変わるわけではありません。実務上は、令和8年12月の年末調整で改正内容を反映する点を押さえておくと、準備を進めやすくなります。

基礎控除は、所得金額によって控除額が変わります

今回の改正で特に分かりにくいのが、基礎控除の引上げです。

基礎控除は、多くの給与所得者に関係する基本的な控除ですが、令和8年度改正後は、合計所得金額や給与収入の水準によって控除額が変わります。

たとえば、令和8・9年分においては、合計所得金額の区分に応じて、基礎控除額が104万円、67万円、62万円などに分かれます。改正前は58万円を基本に、一定の所得区分では95万円、88万円、68万円、63万円といった段階的な加算がありましたが、今回の改正により、確認すべき区分が変わっています。

つまり、年末調整では「基礎控除が上がった」とだけ理解しておけば足りるわけではありません。従業員の合計所得金額、給与収入、親族の所得見込み、適用される年分を踏まえて確認することが大切です。

確認項目 実務上の注意点
合計所得金額 基礎控除額は合計所得金額の区分によって変わるため、申告書の記載内容を確認する
給与収入のみの場合の収入金額 給与だけの従業員でも、収入金額の水準によって確認すべき控除額が変わる
令和8・9年分か、令和10年分以後か 年分によって基礎控除額の取扱いが異なるため、使用する資料やソフトの年度設定に注意する
扶養親族等の所得要件 基礎控除の引上げに伴い、扶養親族等の所得要件も改正されている

中小企業が確認したいポイント

  • 令和8年分の年末調整ソフトが改正後の基礎控除に対応しているか
  • 従業員から提出される基礎控除申告書等の内容に漏れがないか
  • 合計所得金額や給与収入の区分を正しく反映できているか
  • 前年の設定や古い計算表をそのまま使っていないか
  • 給与計算・年末調整を外部に依頼している場合でも、改正対応の有無を確認したか

このように、基礎控除の改正は一見すると単純な引上げに見えても、実際には所得金額や年分によって確認すべき点が分かれます。自社で年末調整を行っている場合は、国税庁の資料や年末調整ソフトの更新内容を確認しながら、早めに準備しておくと安心です。

給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました

給与所得控除についても見直しが行われました。

令和8年度税制改正により、給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円に引き上げられました。

この改正に伴い、令和8年分以後の年末調整等で使う「給与所得控除後の給与等の金額の表」も改正されています。

給与収入が比較的少ない従業員、パート・アルバイト、扶養の範囲で働く親族などがいる場合は、給与所得控除の引上げにより、扶養判定や控除の適用関係に影響することがあります。

実務上の注意点

給与所得控除の改正は、給与所得の金額に影響します。その結果、扶養親族等の所得要件や配偶者特別控除、特定親族特別控除の判定にも関係する場合があります。給与計算だけでなく、扶養の確認にもつながる点を押さえておくと安心です。

扶養親族等の所得要件も改正されました

基礎控除額の引上げに伴い、扶養親族等の所得要件も改正されました。

対象となるのは、扶養親族、同一生計配偶者、ひとり親の生計を一にする子、特定親族、配偶者特別控除の対象となる配偶者、勤労学生などです。

たとえば、扶養親族や同一生計配偶者などの所得要件は、改正前の58万円以下から、改正後は62万円以下に変わります。給与収入だけの場合の目安も変わるため、従業員の家族の収入状況を確認する際には注意したいところです。

中小企業の年末調整実務では、従業員本人の所得だけでなく、配偶者や子どもなど親族の所得見込みも確認する場面があります。

対象 確認したいこと
扶養親族 改正後の所得要件を満たすか、従業員から提出された申告書で確認する
同一生計配偶者 配偶者の所得見込みが改正後の要件に合っているか確認する
特定親族 大学生の子どもなどについて、年齢・所得要件を確認する
勤労学生 本人や親族の所得見込みにより、控除の対象になるか確認する

特に、学生アルバイトの収入や、扶養の範囲で働く配偶者・親族の収入は、年末近くになってから見込み額が変わることもあります。年末調整の直前に慌てないよう、早めに従業員へ確認を促しておくと進めやすくなります。

国税庁の年末調整関係資料で確認したいこと

令和8年分の年末調整を進める際は、税制改正の内容だけでなく、国税庁が公表する年末調整関係資料もあわせて確認しておきたいところです。

国税庁の年末調整関係資料ページには、年末調整に関係する申告書、記載例、手引き、各種説明資料などが掲載されます。

毎年の年末調整では、前年の様式や資料をそのまま使うのではなく、最新の資料を確認することが大切です。特に令和8年度税制改正では、年末調整関係書類について前年分からの変更が予定されています。

年末調整関係資料で確認したい項目

  • 令和8年分の年末調整で使用する申告書の最新版
  • 扶養控除等申告書の記載内容
  • 基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書等の変更点
  • 年末調整のしかた、手引き、記載例
  • 給与所得控除後の給与等の金額の表
  • 源泉徴収簿や給与所得の源泉徴収票に関する資料
  • 従業員へ案内すべき提出書類や記載上の注意点

税制改正の概要を理解していても、申告書の様式や記載例を確認しないまま進めると、従業員への案内漏れや記載誤りが起きやすくなります。早めに資料を確認しておくことで、年末調整の案内や書類回収も進めやすくなります。

年末調整はいつ頃から準備すればよいか

年末調整の計算自体は年末に行いますが、実務ではその前の準備がとても大切です。特に改正がある年は、少し早めに動き始めておくと、年末の慌ただしさを減らしやすくなります。

令和8年分の年末調整では、基礎控除、給与所得控除、扶養親族等の所得要件に改正があります。従業員本人だけでなく、配偶者や子どもなど親族の所得見込みも確認する場面があるため、年末直前にまとめて対応しようとすると、書類の回収や修正に時間がかかることもあります。

時期の目安 会社側で進めたいこと 注意点
9月〜10月頃 国税庁の年末調整関係資料、申告書、記載例、年末調整ソフトの対応状況を確認する 前年の様式や古い資料をそのまま使わないように注意する
10月〜11月頃 従業員へ年末調整の案内を行い、必要書類の提出依頼を始める 配偶者や扶養親族の所得見込み、学生アルバイトの収入見込みを早めに確認してもらう
11月〜12月上旬 扶養控除等申告書、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、保険料控除証明書などを回収・確認する 記載漏れや添付書類不足がある場合は、早めに従業員へ修正依頼を行う
12月の給与計算時期 改正後の控除額や給与所得控除後の給与等の金額の表に基づき、年末調整計算を行う 令和8年分では、改正後の内容を年末調整で反映して精算する点に注意する
翌年1月 源泉徴収票、給与支払報告書、法定調書などの作成・提出に向けて最終確認を行う 年末調整後の修正や追加資料がある場合は、早めに整理しておく

実務上は、10月頃から従業員への案内と資料回収の準備を始め、11月から12月上旬にかけて申告書や証明書類を回収・確認し、12月の給与計算時期に年末調整計算を行う流れが現実的です。

特に、今回のように基礎控除や扶養親族等の所得要件が変わる年は、従業員からの質問も増えやすくなります。会社側で国税庁の年末調整関係資料を確認し、「何を、いつまでに、どのように提出してほしいか」を早めに案内しておくと、従業員も準備しやすくなります。

令和8年12月の年末調整で確認したいこと

令和8年11月までの給与等については、毎月の源泉徴収事務に変更はありません。

一方で、令和8年12月に行う年末調整では、引上げ後の基礎控除額や、改正後の給与所得控除後の給与等の金額の表に基づいて1年間の税額を計算します。

そして、改正前の源泉徴収税額表で計算した源泉徴収税額との精算を行います。ここで改正後の資料やソフト設定が反映されていないと、年末調整のやり直しにつながることもあるため、早めに確認しておくと安心です。

令和8年分の年末調整チェックリスト

  • 年末調整ソフトが令和8年度税制改正に対応しているか
  • 改正後の基礎控除額を反映しているか
  • 改正後の給与所得控除後の給与等の金額の表を使っているか
  • 扶養親族等の所得要件を改正後の基準で確認しているか
  • 新たに扶養控除等の対象となる親族等がいないか確認しているか
  • 必要に応じて扶養控除等申告書などの提出・修正を受けているか
  • 国税庁の年末調整関係資料ページで、最新版の申告書・記載例・手引きを確認したか
  • 従業員への案内時期、書類回収期限、年末調整計算の社内スケジュールを決めているか

従業員への案内も早めに行う

年末調整では、会社側だけでなく、従業員本人の協力も必要です。

特に今回の改正では、基礎控除や扶養親族等の所得要件が変わるため、従業員が「前年と同じでよい」と思い込んでいると、確認漏れが生じることもあります。

次のような従業員には、早めに確認を促すと進めやすくなります。

  • 配偶者がパート・アルバイトをしている方
  • 大学生の子どもがアルバイトをしている方
  • 扶養に入るか外れるかの判断が微妙な親族がいる方
  • 令和8年中に家族の収入状況が変わった方
  • 年末調整書類の記入に不安がある方

年末調整の時期にまとめて確認しようとすると、書類の回収や修正に時間がかかります。できれば、年末調整の書類配布前に、今回の改正で確認すべき点を簡単に案内しておくと、会社側も従業員側も準備しやすくなります。

令和9年分以後の源泉徴収事務にもつながる

令和8年度税制改正は、令和8年12月の年末調整だけで終わるものではありません。

基礎控除額の引上げや給与所得控除の最低保障額の引上げに伴い、令和9年分以後の源泉徴収税額表も改正されています。

そのため、令和9年分以後の給与計算では、給与計算ソフトや源泉徴収税額表が改正後の内容に対応しているかも確認しておきたいところです。

令和8年12月の年末調整対応とあわせて、翌年以後の給与計算の準備も進めておくと、年明けの処理も落ち着いて進めやすくなります。

税理士に相談した方がよいケース

次のような場合は、会社内だけで抱え込まず、早めに税理士へ確認しておくと安心です。

  • 年末調整を自社で処理している
  • 給与計算ソフトの改正対応が正しいか不安
  • 基礎控除や給与所得控除の改正内容を自社で正しく反映できるか不安
  • 扶養親族や配偶者の所得判定で迷う
  • 大学生の子どもを持つ従業員が多い
  • パート・アルバイト従業員が多い
  • 年末調整書類の回収・確認に毎年時間がかかっている
  • 給与計算・源泉所得税・年末調整の流れをまとめて整理したい

税制改正の内容をすべて暗記する必要はありません。自社の給与計算や年末調整にどの部分が関係するのかを整理できれば、必要な対応も見えやすくなります。

まとめ

令和8年度税制改正では、所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正などが行われました。

  • 改正は原則として令和8年12月1日に施行される
  • 令和8年11月までの毎月の源泉徴収事務には原則として変更はない
  • 令和8年12月の年末調整で、改正後の内容を反映して精算する
  • 基礎控除は、所得金額や年分によって確認すべき控除額が変わる
  • 給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円に引き上げられた
  • 扶養親族等の所得要件が変わるため、従業員への確認が重要になる
  • 国税庁の年末調整関係資料ページで、最新版の申告書・記載例・手引きを確認する
  • 令和9年分以後の給与計算では、改正後の源泉徴収税額表にも注意する

年末調整は毎年の定型業務に見えますが、税制改正がある年は確認すべき項目が増えます。

特に今回の基礎控除の見直しは、所得金額や年分によって控除額が変わるため、単純な一律改正として処理しにくい内容です。早めに準備しておくことで、従業員への確認漏れや年末調整のやり直しを減らしやすくなります。

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公認会計士・税理士。BIG4での監査業務、中堅税理士法人での中小・上場企業税務を経て、福岡市を拠点に賀数公認会計士・税理士事務所を開業。中小企業・個人事業主の税務顧問、創業支援、融資・補助金・資金繰り、確定申告、相続税の相談に対応しています。

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